ボツリヌス菌の作り出すA型ボツリヌス毒素を有効成分とする薬剤(ボツリヌストキシン製剤)を用いた治療です。(ボツリヌス菌の菌体やその成分、培養液の成分などは一切含まれません。)
ボツリヌス毒素には、筋肉を動かす神経伝達物質「アセチルコリン」の放出を抑える働きがあり、致死量の数百分の1程度のごく少量、緊張している筋肉に注入することで筋肉をリラックスさせ、表情筋によるしわを軽減したり、顔のエラ張りやふくらはぎの張りを改善することができます。また、アセチルコリンの放出をブロックする作用を応用して多汗症の改善や、花粉症の症状緩和にも効果を発揮することができます。
「ボトックス注射」という呼び方は、本来アラガン社の製剤の製品名「ボトックス」「ボトックスビスタ」に由来していますが、ボツリヌス菌製剤を用いた治療の代名詞のようになっています。
笑ったときに出来る目尻の笑いじわ、眉をしかめたときに出来る眉間の縦しわ、額の横じわは、それぞれ眼輪筋、皺眉筋・鼻根筋、前頭筋といった表情筋が収縮することによって現れます。ボトックス注射でそれぞれのシワに関連する表情筋の収縮を抑制することで、表情を作ってもしわが出来にくくなります。また、表情の動きに伴って出現していたしわを抑えることで、無表情時でも残る薄いしわ(安静時シワ)が目立たなくなったり、将来のしわを予防する効果も得られます。
下口唇のすぐ下からアゴの先端まで伸びているオトガイ筋の収縮でできる凹凸で、アジア人に多くみられます。実年齢より老けて見えたり、不満そうな表情にみえるため悪い印象を与えてしまいます。 加齢とともにボリュームが減って凹凸が目立つ場合は、ヒアルロン酸注入による輪郭形成を合わせて行うと横顔のラインが洗練されます。
輪郭が角ばって見えるエラ張り(square jaw)は、骨格が原因の場合と筋肉が原因の場合があり、筋肉が原因の場合はボトックス注射で改善が可能です。奥歯の噛みしめや歯ぎしりなどで発達したエラの筋肉(咬筋)を弛緩させボリュームダウンすることで、フェイスラインをスッキリさせ小顔に変化させるこの治療は、エラボトックス、小顔ボトックスと呼ばれています。 脂肪量の多い方はBNLSなどメソテラピーを併用すると効果が高まります。 歯ぎしりの強い方には咬筋と同時に側頭筋の緊張をとると有効な場合があります。
首から肩・背中に広がる僧帽筋が発達すると首が短く見え、ドレスなど方や首を出す服を着る際に肩のラインが魅力的でなくなります。また過度な緊張は筋肉痛や頭痛の原因になることもあります。ボトックスで僧帽筋を抑制すると、美容的にはすらっとした方の線となり、視覚的な小顔効果も期待できます。
上腕の三角筋が発達すると男性的な外観となります。三角筋のボリュームを抑えると、しなやかでほっそりした腕のラインをつくる効果があります。
太もも前面の大腿四頭筋が発達すると、膝の上で筋肉が盛り上がります。アスリートのような健康で豊満な外観ではありますが、脚のラインとしては望ましくない場合もあります。同様にふくらはぎの腓腹筋が発達した下腿は、ニワトリの脚のような印象を与えるため魅力的でないととられる場合があります。
脇の下や手のひらなど、過剰な発汗が気になる部位にボツリヌストキシン製剤を注入すると、汗腺に向けて発汗を指令する神経伝達物質(アセチルコリン)の放出がブロックされます。これにより、汗腺からの過剰な発汗を抑制することが可能です。
A型ボツリヌス毒素製剤は、25年以上にわたり医薬品として、さまざまな疾患の治療に使われており、しわ改善のほかにも、斜視、片側顔面けいれん、痙性斜頸(けいせいしゃけい)などの治療に用いられています。
ボトックス(BOTOX)アラガン社製
ボトックス®は、高品質で高い安全性と実績を持つアラガン社製の製剤です。アラガン社は1980年代よりA型ボツリヌス毒素製剤の開発に携わり長きにわたる臨床経験を有しており、BOTOXは米国で発売以来、全世界でトップシェア、その効能効果については世界60か国以上で承認されています。
日本では眼瞼痙攣や斜頸の治療目的でグラクソ・スミスクライン社から「ボトックス注50、100単位」が、65歳未満の眉間・目尻の表情ジワを治療対象とした厚生労働省承認のボトックスビスタ®50単位(写真)がアラガン・ジャパン社から発売されていますが、適応対象が限られ、バイアル当たりの単位数が少ないことから、当院では米国アラガン社のボトックスを使用しています。
「ニューロノックス®」(Medy-Tox社製)は、後発品であるためコストパフォーマンスが良いのが特長で、KFDA(韓国食品医薬品安全庁)で認可され世界で広く使用されております。 以前は海外製の製品のなかには不純物が混在していたり、効果が不安定なものもありましたが、こちらの製品は長期にわたって流通しており、安全面、効果面でも問題ない品質だと考えています。
■目尻(両側)・眉間・額 1部位 ¥66,000(アラガン)
¥44,000(ニューロノックス)
複数部位の場合は、各¥11,000加算
眼瞼下垂の場合には額のボトックスはお勧めしません
■エラボトックス(小顔ボトックス) ¥66,000(アラガン)
¥44,000(ニューロノックス)
(左右各50単位使用 咬筋を各40単位として、目尻など1部位にまわして施術も可)
■多汗症ボトックス ¥66,000(アラガン)
¥44,000(ニューロノックス)
■下腿、肩ボトックス 使用単位に応じて、応相談