自分の血液を用いて肌の再生を促す、最新のシワ・タルミ治療法です。額、ほうれい線などのシワのほか、これまで手術療法以外に改善が難しかった目元のクマ、凹み、下まぶたのタルミなどの治療に対して特に有用な方法です。
血液に含まれる血小板には二つのはたらきがあります。ひとつは止血効果(出血を止める)、もうひとつが創傷治癒効果(傷を治す働き)です。濃縮した血小板を注入して創傷治癒を促す治療がPRP注入療法(多血小板血漿注入療法)で、歯科分野などで応用研究がすすめられ、優れた効果が報告されてきました。
美容形成外科分野では、老化した顔面などの皮膚にPRP注入療法を応用し、線維芽細胞の活性化とコラーゲンの増生による肌全体の若返りを図る再生治療が注目されるようになりました。
セルリバイブは自己W-PRP(白血球含有多血小板血漿)療法の登録商標で、PRPに加え白血球を含有することで、組織再生力を向上させたものです。従来のPRP療法では効果発現まで2カ月ほどかかるのにくらべ、W-PRPでは2週間程度で変化が見られるといわれています。
セルリバイブジータ法では、PRPの濃縮率を3-5倍に高め、さらに現在医薬品として認可されている細胞成長因子(線維芽細胞増殖因子FGF)を添加することで最大限の治療効果を引き出し、2-3年以上も効果が持続するケースがあります。
肘などの静脈から20mlほど採血します。遠心分離機でW-PRPを作成し、活性化操作、成長因子を添加したあと治療部位に注入していきます。治療時間は1時間。あらかじめ麻酔クリームを塗って20分ほど待っていただくと、治療時の痛みはかなり軽減されます。当日の激しい運動、飲酒、熱い風呂での入浴は控えていただきます。
自身の血液を精製して注入するので、重篤な副作用は報告されていません。一般的な注入療法と同様に、痛み、赤み、腫れ、皮下出血などの副作用がありえますが一過性のものです。注入時の痛み、赤みは数時間で改善し、治療部位の腫れはセルリバイブ法で2,3日、成長因子を加えたセルリバイブジータ法では1週間程度続く場合があります。血小板が放出するPDGF(血小板由来増殖因子)、EGF(上皮細胞増殖因子)、KGF(角化細胞増殖因子)、VEGF(血管内皮細胞増殖因子)、FGF(線維芽細胞増殖因子)などを用いた治療法は、コラーゲンを産生する線維芽細胞を活性化するとともに血流の増加など炎症反応を必ず伴うものです。むしろ、ある程度の腫れがみられなければ、良好な効果は期待できないともいえます。治療直後が最終結果ではなく、2週間後くらいから効果があらわれ、約3か月で安定します。
同窓会、結婚式などに出席するため、すぐに治療効果を求められるような場合、仕事の都合などでダウンタイムがある治療が無理な方にはヒアルロン酸、コラーゲン注入が適しています。
目の周囲は注入によるシワ治療が困難な部位です。まぶたに近いところは下地になる骨がないためマッサージによる造形がしにくく、また眼球を圧迫してしまう危険を伴います。とくに下まぶたのタルミ治療では、皮膚を切除して引き上げる手術が一般的に行われていますが、細かいちりめん皺まではなかなかとれず、無理をすると兎眼(アッカンベーの状態)となるため、積極的に手術効果を求めることができませんでした。目元のクマ、凹み、下まぶたのタルミにはセルリバイブ・ジータ法が優れているといえます。